2016年7月29日金曜日

地中海食で心血管障害・がん・糖尿病を予防❔

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Annals of Internal Medicine誌、2016年7月19日オンライン号より。

最近「地中海式ダイエット」などという言葉も耳にしますが、イタリアやスペインなどの伝統的な食生活です。
健康や長寿に良いと言われ多くの研究が行われています。
今回の研究ではそんな地中海食に関する研究データを集め、合わせて解析が行われました。
その結果、地中海食が心血管障害・がん・2型糖尿病などを予防する可能性が示唆されたのです。

「この栄養成分が良い」、「あのサプリメントを摂ろう」…などと特定のことに着目するだけでなく、全体の食生活を健康的なものにシフトしていくのも重要なことです。
地中海食を目指してたっぷりの野菜や果物、全粒穀物、魚、オリーブオイルなどをとり入れていきましょう♪


【試験概要】
  • 研究デザイン:メタ解析
  • 対象:100名以上を対象に死亡率・心血管障害・高血圧・糖尿病・アドヒアランスについて1年以上追跡した対照試験、およびがんに関するコホート試験がメタ解析の対象となった。
【試験結果】
  • 一次予防を目的とした介入試験のうち、総死亡率に関する2件では有意な影響が認められなかった。1件の大規模試験においては地中海食が主要な心血管障害(HR 0.71)、乳がん(HR 0.43)、糖尿病(HR 0.70)の発症リスクを低下させた。
  • 一次予防を目的としたコホート研究の統合解析より、地中海食に最も則った食事をしているグループは・・・
    • がん死亡リスクが14%低かった(13件の解析よりRR 0.86)
    • がん発症リスクが4%低かった(3件の解析よりRR 0.96)
    • 大腸がん発症リスクが9%低かった(9件の解析よりRR 0.91)
  • 心血管障害の二次予防を目的とした3試験のうち、地中海食で心筋梗塞の再発・心血管障害死亡のリスクが低かったと1件で報告された。
【論文リンク】
Effects on Health Outcomes of a Mediterranean Diet With No Restriction on Fat Intake: A Systematic Review and Meta-analysis

2016年7月27日水曜日

最も肥満のグループは死亡率が2.5倍以上❔

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Lancet誌、2016年7月13日オンライン号より

ダイエットをしようしようと思いつつお菓子に手が伸びる…。
運動をしなきゃと思いつつエアコンの部屋から出られない…。
そんな人たちも肥満が死亡率上昇に繋がるということを数値で見せられるとモチベーションが上がるのではないでしょうか。
今回の研究では、肥満(BMI 30.0 kg/m2以上として定義)のヒトは死亡リスクがどんどん上がっていき、最も肥満のグループ(BMI 40.0 ~ 60 kg/m2)では死亡率が2.5倍以上だった報告されました。

元気に長生きするために今すぐできることからスタートして、適正体重を目指しましょう♪
なお低体重でも死亡率は13~51%高く、痩せすぎにも注意が必要です!


【試験概要】
  • 研究デザイン:239件の前向き研究のメタ解析
  • 対象者:上記研究の対象者より、非喫煙者(過去・現在ともに)でベースライン時に慢性疾患がなく試験開始時から5年以上生きた3,951,455名
  • 研究期間:対象となった研究の追跡期間は中央値で13.7年
【試験結果】
BMI(※1)が 20·0–25·0 kg/m2mの時に死亡率は最も低く、それ以下、以上のいずれも死亡率は上昇した。
  • BMI 18.5 ~ <20.0 kg/m2 :死亡率は13%高かった(HR 1.13)。
  • BMI 15.0 ~ <18.5 kg/m死亡率は51%高かった(HR 1.51)
  • BMI 25.0 ~ <27.5 kg/m2 :死亡率は7%高かった(HR 1.07)
  • BMI 27.5 ~ <30.0 kg/m2 :死亡率は20%高かった(HR 1.20)
  • I度肥満 (BMI 30.0 ~ <35.0 kg/m2) :死亡率は45%高かった(HR 1.45)
  • II度肥満 (BMI 35.0 ~ <40.0 kg/m2) :死亡率は94%高かった(HR 1.94)
  • III度肥満 (BMI 40.0 ~ <60.0 kg/m2) :死亡率は176%高かった(HR 2.76)


BMIが5 kg/m2上昇するごとの死亡率上昇を比較すると
  • エリアごとでは下記の通り
    • .ヨーロッパ:死亡率が39%上昇(HR 1.39)
    • 北米:死亡率が29%上昇(HR 1.29)
    • 東アジア:死亡率が39%上昇(HR 1.39)
    • オーストラリアとニュージーランド:死亡率が31%上昇(HR 1.31)
  • 年齢別では若い方が影響が大きかった。
    • 35-49歳:死亡率が52%上昇(HR 1.52)
    • 70-89歳:死亡率が21%上昇(HR 1.21)
  • 性別では男性の方が影響が大きかった
    • 男性:死亡率が51%上昇(HR 1.51)
    • 女性:死亡率が30%上昇(HR 1.30)
(※1)
BMI: Body Mass Index(ボディーマスインデックス)の略。身長と体重をもとに算出した指数で体格をあらわす。体重[kg]を身長[m]の二乗で割って算出する。

【論文リンク】

2016年7月25日月曜日

食べる脂質の種類を変えるだけで死亡率が13-27%減❔

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JAMA Internal Medicine誌、2016年7月5日オンライン号より。


脂質の摂りすぎは肥満やメタボ、心臓病や脳卒中に繋がるというイメージを持つヒトは多いのではないでしょうか。

実は脂質には様々な種類があり、健康に良いものも、健康を害するものも存在します。
この種類による健康効果の違いは大きく、不健康な脂質を健康的な脂質に置き換えるだけで、死亡率が13-27%低減すると報告されました。

肉類や全脂肪乳製品、マーガリンなどの摂取を控え、魚類や種実類などから健康的な脂質を摂るようにしましょう♪


【試験概要】
  • 研究デザイン:コホート研究
  • 対象者:Nurses’ Health Studyより83,349名の女性、Health Professionals Follow-Up Studyより42,884名の男性。ベースライン時に心血管障害・がん・糖尿病を患っていない者。
  • 研究期間:3,439,954人年の追跡
【試験結果】
摂取量の最多グループと最低グループを比較すると・・・
  • 飽和脂肪酸:摂取量が多いと総死亡率が高かった(HR 1.08)。
  • 多価不飽和脂肪酸:摂取量が多いと総死亡率が低かった(HR 0.81)。
  • 一価不飽和脂肪酸:摂取量が多いと総死亡率が低かった(HR 0.89)。
  • トランス脂肪酸:摂取量が多いと総死亡率が高かった(HR 1.13)。
  • オメガ-6多価不飽和脂肪酸:摂取量が多いと総死亡率が低かった(HR 0.85)。
  • オメガ-3多価不飽和脂肪酸:摂取量が多いと総死亡率が低かった(HR 0.96)。
摂取カロリーの5%を飽和脂肪酸から下記に置き換えた場合…
  • 多価不飽和脂肪酸:総死亡率が27%低減すると推算される(HR 0.73)。
  • 一価不飽和脂肪酸:総死亡率が13%低減すると推算される(HR 0.87)。
【論文リンク】
Association of Specific Dietary Fats With Total and Cause-Specific Mortality

水分不足だと肥満リスクが6割増し❔

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Annals of Family Medicine誌、2016年7-8月号より

暑い日が続き、こまめな水分補給が推奨されています。
実は水分不足は熱中症だけでなく、肥満にも繋がるかも❔という報告がありました。
アメリカの全国健康栄養調査データを解析した結果、水分不足のヒトは肥満リスクが約60%高かったのです。

ペットボトルや水筒で水やお茶を持ち歩き、定期的に水分補給を心掛けましょう!
熱中症対策だけでなくダイエットにも効果が見られるかもしれません♪


【試験概要】
  • 研究デザイン:観察研究。アメリカの全国健康栄養調査(NHANES)2009-2012年の解析
  • 対象者:18-64歳の男女9,528名
【試験結果】
  • 水分不足は尿浸透圧(<800 mOsm/kg)をもとに定義。対象者の32.6%が水分不足だった。
  • 水分不足のヒトは、水分が足りているヒトと比較してBMIが1.32kg/m2高かった。
  • 水分不足のヒトは、水分が足りているヒトと比較して肥満(BMI≥30kg/m2)のリスクが59%高かった(OR 1.59)。
(※1)
BMI: Body Mass Index(ボディーマスインデックス)の略。身長と体重をもとに算出した指数で体格をあらわす。体重[kg]を身長[m]の二乗で割って算出する。

【論文リンク】

2016年7月11日月曜日

パスタ好きに朗報- パスタを沢山食べるヒトはBMIが低い❔

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Nutrition & Diabetes誌、2016年7月4日オンライン号より

炭水化物の食べ過ぎはダイエットの敵…と思いつつ、でもパスタが食べたい!と苦しんでいる人もいるのではないでしょうか。
そんなヒトへの嬉しいニュースです!
イタリアで2万人以上を対象にした研究より、パスタの摂取量が多いほどBMIが低かったと報告されました。
だからと言ってもちろん食べ過ぎは良くないですが、パスタ好きの方はそんなに罪悪感を感じず、たまにはパスタを楽しんでみましょう♪

【試験概要】
  • 研究デザイン:観察研究
  • 対象者:Moliseという地方に住む35歳以上の成人14,402名(Moli-sani研究より)。イタリア全土より集められた18歳より年上の8,964名(INHES研究より)。
【試験結果】
  • Moli-sani研究の男女・INHES研究の女性において、パスタ摂取量が多いほどBMIも高かった。
  • 過剰/過少報告を考慮するためエネルギー摂取量からパスタ摂取量を推測し、調整を行った解析では、この値が高いほどBMIが低かった(Moli-sani研究の女性において)。
  • 体重によって必要摂取量は異なるため、その調整を行った解析では、この値が高いほどBMI(Moli-sani研究、INHES研究の男女において)、ウェスト・ヒップ・ウェストヒップ比(Moli-sani研究において)が低かった。
(※1)
BMI: Body Mass Index(ボディーマスインデックス)の略。身長と体重をもとに算出した指数で体格をあらわす。体重[kg]を身長[m]の二乗で割って算出する。

【論文リンク】

2016年7月5日火曜日

がん患者さんは運動をしないと死亡率が上昇❔

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British Journal of Cancer誌、 2016年6月14日オンライン号より。
健康的な食生活+運動でがんの発症を予防できるかもしれないということは以前お伝えしましたが、今回の研究では予防だけでなく発症後も運動の効果があるかも❔という報告がありました。
卵巣がんの女性を対象にした研究12件を合わせて解析した結果、運動をしないヒトはするヒトと比較して死亡リスクが高かったのです。

病気の予防にも管理にも役立つ運動。
暑くなり熱中症が心配な季節なので、外で行う場合は朝夕の涼しい時間を狙う、水分補給をこまめにするなど、上手に運動を取り入れていきましょう♪

【試験概要】

  • 研究デザイン:12件の研究の統合解析
  • 対象者:上皮性卵巣がん(浸潤のあるもの)と診断されている女性6,806名 
  • 研究期間:5年間
【試験結果】
余暇身体活動をしない女性は、する女性と比較して死亡リスクが22%高かった(HR 1.22)。残存疾患を考慮した解析では、余暇身体活動をしない女性は死亡リスクが34%高かった(HR 1.34)。

【論文リンク】
Recreational physical inactivity and mortality in women with invasive epithelial ovarian cancer: evidence from the Ovarian Cancer Association Consortium

2016年7月2日土曜日

バターを食べても心臓病のリスクは上昇しない❔

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PLoS One誌、2016年6月29日オンライン号より。

動物性脂肪は飽和脂肪酸と呼ばれる脂肪です。
飽和脂肪酸はコレステロール値や心臓病の発症リスクを上昇させると言われているので、健康のためにバターを控えめにしたり、牛乳を低脂肪にしたりしている人も多いのではないでしょうか。

しかし最近の研究では、乳製品が病気の予防に役立つ可能性も示唆されていて、脂肪分の多い乳製品を摂るべきか、摂らないべきか…という疑問が湧いています。

そこで今回、バターの摂取量と様々な病気のリスクについて調べた研究が合わせて解析されました。
63万人以上のデータを解析した結果、バターの摂取量が多いと死亡率がわずかに高かったものの殆ど差はなく、一方で糖尿病の発症リスクが低くなることが分かりました。
またバター摂取量は、心臓病や脳卒中などのリスクには影響がありませんでした。

バターをどれだけ食べても問題ない!とは言えませんが、あまりストイックにバターを避ける必要もないのかもしれません♪


【試験概要】
  • 研究デザイン:コホート研究のメタ解析。
  • 対象者:15ヵ国より636,151名。
  • 研究期間:650万人年の追跡。
【試験結果】
バター摂取量が多いと・・・

  • 総死亡率がわずかに高かった(大匙1杯(14g)増えるごとにリスクが1%上昇。RR 1.01)
  • 糖尿病発症リスクが低かった(大匙1杯(14g)増えるごとにリスクが4%低下。RR 0.96)
  • 心血管障害の発症リスク:有意な相関なし
  • 冠動脈疾患の発症リスク:有意な相関なし
  • 脳卒中の発症リスク:有意な相関なし

【論文リンク】
Is Butter Back? A Systematic Review and Meta-Analysis of Butter Consumption and Risk of Cardiovascular Disease, Diabetes, and Total Mortality