2016年4月30日土曜日

交代制夜勤で病気のリスクが上がる❓

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JAMA、2016年4月26日号より

交代制夜勤で病気のリスクが上がる❓という報告です。

24時間営業のお店やサービスが増え、夜勤をする人の割合も増えてきています。
特に交代制夜勤がある職業のヒトは、毎日の生活リズムが一定でなく、規則的に食事をしたり十分な睡眠をとったりということが難しいのではないでしょうか。
今回の研究では、そういった交代制夜勤を長く続けているヒトでは、心臓の病気のリスクが高かったと報告されました。

【試験概要】
  • 研究デザイン:コホート研究(Nurses' Health Studies/NHSとNHS2)
  • 対象:ベースライン時の平均年齢が54.5歳(NHS)もしくは34.8歳(NHS2)の健康な女性ナース189,158名。
  • 試験期間:24年以上の追跡。

【試験結果】
交代制夜勤をしている年数が多ければ多いほど冠動脈疾患の発症リスクが高かった。
  • NHS:交代制夜勤を10年以上しているヒトの発症リスクは10万人年あたり596.9 vs. 全くしていないヒトは425.5 (HR 1.18)
  • NHS2:交代制夜勤を10年以上しているヒトの発症リスクは10万人年あたり178.0 vs. 全くしていないヒトは122.6 (HR 1.15)

【論文リンク】

2016年4月29日金曜日

週30分の運動でも週150分の運動と同程度の効果が得られる❓

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PLoS One、2016年4月26日号より

週30分の運動でも週150分の運動と同程度の効果が得られる❓という報告です。

推奨される運動ガイドラインとして、強度が中程度の運動を週150分以上とよく言われますが、忙しい日々の中で毎週150分の運動を確保するのはなかなか難しいものです。
もっと短い時間で同じような健康効果が得られる…というと出来過ぎた話のような気がしますが、今回カナダの研究からそんな報告がされました。

その秘密は下記のようなインターバル運動です:
ウォームアップ2分
→ 全力で20秒
→ 軽くこいで2分
→ 全力で20秒
→ 軽くこいで2分
→ 全力で20秒
→ クールダウン3分

このプログラムにかかる時間はトータルで10分、これを週に3日するだけで週150分の運動をした場合とほぼ同じ健康効果が得られたというのです。
これまで推奨されていた150分の5分の1の運動で良いというのは嬉しい話ですね。
1回10分を週に3日であれば続けられる人も多いのではないでしょうか♪

【試験概要】
  • 研究デザイン:介入研究
  • 対象:座位中心の生活をしている男性(平均年齢27歳、平均BMI 26kg/m2)27名。
  • 介入:下記の3群
    • 全力インターバル:間に2分間の軽い自転車こぎを挟んで全力で20秒ずつの自転車こぎを3回(+2分間のウォームアップ+3分間のクールダウン)。トータル10分を週3回。
    • 有酸素運動:最大心拍数70%程度の強度で45分の自転車こぎ(+2分間のウォームアップ+3分間のクールダウン)。トータル50分を週3回。
    • 対照群:トレーニングなし
  • 試験期間:12週間。

【試験結果】
週30分vs.150分と大きく異なるにも関わらず、全力インターバル・有酸素運動は共に心臓/代謝系の指標を改善させた。対照群では有意な変化は認められなかった。
  • いずれの運動も最大酸素摂取量を19%向上させた
    • 全力インターバル:32 → 38ml/kg/min
    • 有酸素:34 → 40ml/kg/min
  • いずれの運動もインスリン感度の指標(トレーニング前と72時間後のブドウ糖負荷試験)を改善させた
    • 全力インターバル:4.9 → 7.5/min/(μU/mL)
    • 有酸素:5.0 → 6.7/min/(μU/mL)
  • いずれの運動も骨格筋内のミトコンドリア量を向上させた。

【論文リンク】

2016年4月28日木曜日

水分摂取量、女性は推奨量以上達成で男性は若干低め❓

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National Center for Health Statistics Data Brief、2016年4月号より

アメリカ人の平均水分摂取量を調べたところ、男性は推奨量より若干低く、女性は推奨量を達成していた!という報告です。

これからだんだん暑くなり十分な水分補給がより重要となってきます。
アメリカ人が現状でどの程度水分を摂っているかを調べたところ、男性は3.46L(推奨量3.7L)、女性2.75L(vs.推奨量2.7L)で、推奨量近くもしくは以上摂っていることがわかりました。
また摂取した水分のうち、「水」として摂取したのは男女とも30%程度で、残りは食べ物や水以外の飲み物に含まれる水分でした。
十分な水分摂取は重要ですが、水分と共に無駄なカロリーや糖質を摂らないよう、量だけでなく質にも気をつけてみましょう♪

【試験概要】
  • 研究デザイン:NHANES(米国全国健康・栄養調査)2009-2012年のデータ解析
  • 対象:アメリカの成人男女

【試験結果】

  • 男性の平均水分摂取量は3.46L、女性は2.75Lだった。
  • 水分摂取量のうち、実際に「水」として摂取しているのは男子が34%、女性が30%程度
  • 年齢別にみると、男女とも60歳以上の群は20-39歳、40-59歳の群と比較して水分摂取量が少なかった。
【論文リンク】

2016年4月26日火曜日

地中海食で心血管障害発症リスクが低くなる❓

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European Heart Journal、2016年4月24日オンライン号より

地中海食に則った食生活をしているヒトは心血管障害発症リスクが低い!という報告です。

健康長寿に繋がると注目を集めている地中海食。
冠動脈疾患を持つ患者さんのうち、この食事パターンに則った食事をしているヒト程心血管障害発症リスクが低かったという報告がありました。
一方、精製された穀類や嗜好品を多く含み「不健康」だとされている欧米型食生活については、心血管障害発症リスクとは特に有意な相関なしという結果でした。

不健康な食生活をしているヒトは、「これは食べないようにしよう」、「あれは控えよう」と食品を排除していくのではなく、地中海食に含まれるような食品を積極的に摂りながら健康的な食生活を目指す方が、ストレスも少なく、より効果が得られるかもしれません♪

【試験概要】
  • 研究デザイン:縦断研究
  • 対象:安定した冠動脈疾患患者15,482名。39ヶ国よりSTABILITY研究のために集められヒトで平均年齢67歳。
  • 試験期間:追跡期間の中央値は3.7年。

【試験結果】
地中海食スコア(全粒穀類・野菜・果物・豆類・魚・アルコールを摂取し肉類を控える食生活)、および欧米食スコア(精製穀類・嗜好品・甘い飲み物・揚げ物に富む食生活)と主要な心血管障害の発症リスクの相関を調べたところ…

  • 地中海食スコアが12点より高値の場合、1点高くなる毎に心血管障害発症リスクが5%低くなった(HR 0.95)。
  • 欧米食スコアは心血管障害発症リスクと有意な相関がなかった。

【論文リンク】

2016年4月23日土曜日

両親に過体重/肥満と思われている子供は、体重増加リスクが高い❓

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Pediatrics、2016年5月号より

両親に過体重/肥満と思われている子供は、体重増加リスクが高い!という報告です。

子供の健康管理は親の責任…ではありますが、あまりストイックになるのも良くないのかもしれません。
今回の研究では、両親に肥満だと思われている子供は成長過程でより体重が増加したという報告がされました。アメリカなどでは近年小児肥満が増加しており、親が早めに気づき予防・対処するのが重要だといわれています。しかし一方で、親からのネガティブなイメージは子供に悪影響を及ぼすのかもしれません。
実際には標準体重だった子供も、両親に肥満だと思われている場合体重増加が多かったので、「病は気から」ではないですが、「肥満は気から」も一理あるのかもしれません。

【試験概要】
  • 研究デザイン:縦断研究
  • 対象:オーストラリア在住の子供3,557名とその両親
  • 試験期間:4歳から13歳までの追跡

【試験結果】
両親が子供のことを過体重/肥満だと認識している場合、その子供は試験期間中に体重が増えるリスクが高かった。
この相関は、子供が実際標準体重であった場合も肥満であった場合も同様であった。

2016年4月22日金曜日

アルコール、塩漬け食品、加工肉、過体重/肥満は胃がんリスクを上げる❓

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World Cancer Research Fund(WCRF)、2016年4月の発表より

アルコール、塩漬け食品、加工肉、過体重/肥満は胃がんリスクを上げる!という報告です。

今回発表された報告書は以前の2007 Second Expert Reportの胃がんに関する箇所をアップデートしたものです。
様々な食品が胃がんリスク上昇と関係するというエビデンスが強くなってきました。生活習慣とリスクが関係するということは、それだけ予防できるチャンスがあるということです♪リスクを上げるとされている食品・飲料を避けて胃がん予防を心掛けましょう!

【試験概要】

  • 研究デザイン:レビュー
  • 対象:89件の研究より、1,750万人の被験者(77,000例の胃がん患者を含む)

【試験結果】
今回のアップデートされた報告書では、下記について強いエビデンスが認めれた。
  • 1日3杯以上のアルコール摂取では胃がんリスクが高い
  • 塩漬けの食品(漬物、塩辛、干物など)の摂取では胃がんリスクが高い
  • 加工肉(ハムやソーセージなど)の摂取では胃がんリスクが高い
  • 過体重/肥満(BMI25以上)では胃がんリスクが高い

2016年4月21日木曜日

社会的孤立・孤独感があると心臓病や脳卒中のリスクが30%高い❓

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Heart、2016年4月18日オンライン号より。

社会的孤立・孤独感があると心臓病や脳卒中を起こすリスクが30%高い!という報告です。

食事・運動・睡眠など健康に重要な要素は色々とありますが、メンタル面のケアも非常に重要です。社会との関わりを持ち、孤独を感じない生活ができれば、毎日を楽しく暮らせるだけではなく病気のリスクが減りより長生きできるようになるかもしれません♪

【試験概要】

  • 研究デザイン:システマティックレビュー/メタ解析
  • 対象:2015年5月までに発表された16件(23文献)のコホート研究で、4,628例の冠動脈疾患と3,002例の脳卒中を含む。うちメタ解析に使用されたのは冠動脈疾患に関する11件と脳卒中に関する8件。
  • 試験期間:3-21年間
【試験結果】
  • 社会的孤立・孤独感では冠動脈疾患の発症リスクが29%高かった(RR 1.29)
  • 社会的孤立・孤独感では脳卒中の発症リスクが32%高かった(RR 1.32)

2016年4月20日水曜日

コーヒーを飲んでいると大腸がんリスクが25%低い?

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Cancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention、2016年4月号より。
コーヒーを飲んでいるヒトは全く飲まないヒトと比較して大腸がん発症リスクが25%低く、飲む量が多ければ多いほど更にリスクが低かった!という報告です。

通常のコーヒーだけでなくカフェイン抜きコーヒーでも同様の効果が示されているため、コーヒーに含まれる抗酸化物質などの影響かもしれません。
コーヒーに関しては健康に良い!悪い!と様々な研究が発表されていますが、大腸がんに関しては飲めば飲む程良いということのようです。
しかしこの研究はコーヒーと大腸がんの因果関係を示しているわけではなく、飲み過ぎは大腸がん以外の悪影響をもたらす可能性もあるので何事もほどほどにしましょう!

【試験概要】

  • 研究デザイン:症例対照研究
  • 対象:イスラエル北部のMECC研究対象者のうち、大腸がん患者5,145名と対照群4,097名
【試験結果】
  • コーヒーを飲むヒトは大腸がん発症リスクが26%低かった(飲むヒトと全く飲まないヒトの比較でOR 0.74)
  • コーヒーを飲む量が多ければ多いほど大腸がん発症リスクが低く、1単位未満/日のヒトと比較して、2.5単位/日より多く飲むヒトはリスクが54%低かった(OR 0.46)
  • カフェイン抜きコーヒーを飲むヒトも大腸がん発症リスクが18%低かった(飲むヒトと全く飲まないヒトの比較でOR 0.82)

2016年4月18日月曜日

妊娠したいカップルは男女ともカフェイン摂りすぎに注意!2杯より多いと流産リスク75%増❓

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Fertility and Sterility、2016年3月22日号より。
カフェイン飲料を多く飲んでいると流産リスクが75%程高く、マルチビタミンを摂っていると流産リスクは半分以下!という報告です。

女性の年齢が上がると流産リスクが上がるというのはよく言われていることですが、年齢はどうにも変えようがありません。年齢を嘆くのではなく、生活習慣の中で変えられることに目を向けてみましょう!
カフェイン飲料の影響は女性だけでなく男性が飲んでいた場合もあるようです。夫婦一緒にカフェイン飲料の飲み過ぎには気を付け、女性はマルチビタミンをきちっと摂るようにしてみましょう!


【試験概要】

  • 研究デザイン:コホート研究
  • 対象:アメリカ(ミシガン・テキサス)在住で妊娠(双子などは除外)した344カップル。
  • 試験期間:妊娠前にリクルートし、妊娠7週間までの追跡
【試験結果】
妊娠前の生活習慣で流産リスクに関わっていたのは…
  • 女性の年齢が35歳以上だと流産リスクが96%高かった(aHR 1.96)
  • 女性が2カップ/日より多くのカフェイン飲料を飲んでいると流産リスクが74%高かった(aHR 1.74)
  • 男性が2カップ/日より多くのカフェイン飲料を飲んでいると流産リスクが73%高かった(aHR 1.73)
  • 女性がマルチビタミンを摂取していると流産リスクが55%低かった(aHR 0.45)

2016年4月13日水曜日

7-8時間の睡眠で病気になるリスクが30-80%低い!❓

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JAMA、2016年4月11日号より。
しっかり睡眠をとらないと病気になるリスクが30-80%程高い!という報告です。

忙しい日々の中でついつい短くなりがちな睡眠時間ですが、食事・運動・睡眠は健康の三大柱です。睡眠時間確保の優先順位を上げてみましょう♪


【試験概要】

  • 研究デザイン:既存データの二次解析
  • 対象:NHANES(アメリカ国民健康栄養調査)より平均年齢46.2歳のアメリカ人22,726名
【試験結果】
睡眠時間が5時間以下のヒトは7-8時間のヒトと比較して…
  • 風邪にかかる割合が28%高かった(OR 1.28)
  • 感染症(インフルエンザ、肺炎、耳の感染症)にかかる割合が82%高かった(OR 1.82)
なお上記は年齢・性別を考慮した解析結果です。
更に人種・教育・収入・結婚歴・喫煙歴・身体活動・BMI・調査年を考慮すると、睡眠の影響が少し小さくなるものの、やはり統計的に有意な影響がみられました。
睡眠時間が5時間以下のヒトは7-8時間のヒトと比較して…
  • 風邪にかかる割合が17%高かった(OR 1.17)
  • 感染症にかかる割合が51%高かった(OR 1.51)
【論文リンク】
Association of Insufficient Sleep With Respiratory Infection Among Adults in the United States

2016年4月12日火曜日

健康的なイメージのジュースやスムージー、半数近くが糖類多すぎ❓

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BMJ Open、2016年3月23日号より。
子供向けのジュースやスムージーに含まれている糖類の量は非常に多い!という報告です。

手軽に野菜や果物が摂れるとして人気のジュースやスムージーですが、栄養素と共に多くの糖類・カロリーも摂ってしまっているかもしれません。栄養表示をよく見て賢く選ぶようにしましょう♪


【試験概要】

  • 研究デザイン:断面研究
  • 対象:イギリスの主要スーパーにて子供向け商品として販売されているジュース、ジュース飲料、スムージー203製品
【試験結果】
果物自体に含まれる糖類は除外して計算した場合…
  • 製品100mlあたりの糖類平均含有量は7.0g(カテゴリー別では果汁100%ジュース10.7g、スムージー13.0g、ジュース飲料5.6g)
  • 半数弱(85製品)は1日あたりの推奨摂取量(19g)を超える糖類を含んでいた
【論文リンク】
How much sugar is hidden in drinks marketed to children? A survey of fruit juices, juice drinks and smoothies

2016年4月8日金曜日

生の果物を食べると心臓病や脳卒中のリスクが30-40%程低い!?

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The New England Journal of Medicineという主要医学誌、2016年4月7日号より。
生の果物を毎日食べるヒトは心血管障害発症・死亡リスクが30-40%程低い!という報告です。

果物や野菜には様々な栄養成分が含まれ、これらが相互に作用し合いながら健康効果をもたらすといわれています。サプリメントを摂るよりも、様々な果物を楽しんで食べることが健康への近道かもしれません♪

【試験概要】

  • 研究デザイン:前向き研究
  • 対象者:中国在住の30-79歳で、心血管障害の既往や降圧剤治療のない451,665名
  • 期間:320万人年の追跡

【試験結果】
生の果物を毎日食べる群では、全く/殆ど食べない群と比較して・・・
  • 収縮期血圧が4.00mmHg程度低かった
  • 血糖値が9.0mg/dL程度低かった
  • 心血管障害死亡リスクが40%低かった(HR 0.60)
  • 冠動脈疾患発症リスクが34%、脳梗塞発症リスクが25%、脳出血発症リスクが36%低かった(それぞれHR 0.66、0.75、0.64)
【論文リンク】
Fresh Fruit Consumption and Major Cardiovascular Disease in China