2016年10月24日月曜日

怒りで心筋梗塞リスクが2倍以上に❔

このエントリーをはてなブックマークに追加

Circulation誌、2016年10月11日号より。

怒ったり興奮したりすると心臓に良くないと聞いたことがあるヒトは多いと思います。

今回の研究ではそれが大規模なデータの解析で示されました。

世界52ヵ国で急性心筋梗塞を起こした1万例以上ものデータの解析です。
その結果、発症前1時間以内に身体活動もしくは怒ったり感情的に取り乱すような出来事があると、心筋梗塞のリスクが2倍以上になったのです。

運動は無理せず行う。
すぐにカッとせずストレスをこまめに発散する。
…など日々の少しの工夫で心筋梗塞の予防を心掛けましょう♪

【試験概要】
  • 研究デザイン:症例対照研究(INTERHEART)
  • 対象:52ヵ国における最初の急性心筋梗塞12,461例。
【試験結果】
急性心筋梗塞発症前1時間以内に…
  • 身体活動をしていたヒトはリスクが2倍以上だった(OR 2.31)
  • 怒ったり感情的に取り乱していたヒトはリスクが2.5倍近かった(OR 2.44)
  • 身体活動+怒ったり感情的に取り乱したいたヒトはリスクが3倍以上だった(OR 3.05)

【論文リンク】

2016年10月21日金曜日

カルシウムサプリメントで動脈硬化のリスク上昇❔

このエントリーをはてなブックマークに追加

Journal of the American Heart Association誌、2016年10月11日号より。

骨の健康のためなどカルシウムは人気の高いサプリメントですが、近年カルシウムサプリメントが心血管障害のリスク上昇と関係するという報告もあり、とるべきかとらないべきか…と迷うところです。

今回の研究ではカルシウムの総摂取量が高いと動脈硬化のリスクが低いと報告された一方、カルシウムサプリメントの使用がリスクを高める可能性も示唆されました。

カルシウムに関する研究結果は一貫していないですが、病気のリスク上昇と関係するといわれているのはカルシウムサプリメントで、食品からのカルシウムは問題ありません。
乳製品、小魚、大豆製品、小松菜などの野菜…カルシウムを含む食品は多くあります。様々な食品を摂り、食事から十分なカルシウムを摂れるようになるのが理想的です♪

【試験概要】

  • 研究デザイン:コホート研究(Multi‐Ethnic Study of Atherosclerosis)
  • 対象:45-84歳で心血管障害の診断を受けていない男女5,448名。
  • 研究期間:約10年間の追跡。
【試験結果】
  • ベースライン時のカルシウム摂取量で5グループに分けると、それぞれのグループの平均値は313.3、540.3、783.0、1168.9、2157.4 mg/日。女性の方が男性より摂取量が高かった。
  • ベースライン時に冠動脈石灰化のなかった1,567名のうち、カルシウム摂取量が最多のグループは最少のグループと比較して、10年間の冠動脈石灰化発症リスクが27%低かった(RR 0.73)。
  • カルシウムの総摂取量で調整を行った解析では、カルシウムサプリメントの使用が冠動脈石灰化の発症リスク上昇と相関した(RR 1.22)。
【論文リンク】

2016年10月20日木曜日

高たんぱくダイエットでは、減量による糖尿病予防/改善効果がない❔

このエントリーをはてなブックマークに追加


Cell Reports誌、2016年10月11日号より。

ダイエットで脂肪だけでなく筋肉も減ってしまった…という経験のあるヒトは多いのではないでしょうか。

そうならないために高たんぱく食でのダイエットが良いという説もありますが、今回の研究では高たんぱく食ダイエットのデメリットが報告されました。

それはインスリン感受性です。

インスリン感受性が低下すると血糖値のコントロールがうまくいかず糖尿病などのリスクが高まります。
ダイエットをして体重が減ると通常このインスリン感受性が改善し、糖尿病の予防や改善に繋がるのですが、高たんぱく食で減量したヒトは体重が減ってもインスリン感受性が改善しなかったのです。

ダイエットの時でも偏った食生活はNGです。
たんぱく質の摂りすぎは避け、バランスよく低カロリーを目指しましょう♪

【試験概要】
  • 研究デザイン:無作為化比較試験
  • 対象:閉経後の肥満女性。
  • 介入:通常たんぱく量(0.8g/kg体重/日)での低カロリー減量食、高たんぱく(1.2g/kg体重/日)での低カロリー減量食、もしくは体重維持。
  • 研究期間:減量グループは体重の8-10%程度の減量をし体重が3-4週間安定(体重変動2%以内)するまで、体重維持グループは約6ヶ月。
【試験結果】
  • 高たんぱく食で減量したグループでは、筋肉の減量が抑制された。
  • 通常のたんぱく量で減量したグループではインスリン感受性が改善したが、高たんぱくで減量したグループではこの改善が認められなかった。
【論文リンク】

2016年10月12日水曜日

健康的な生活で人生の長さだけでなく質も向上❔

このエントリーをはてなブックマークに追加


Journal of the American Geriatrics Society誌、2016年10月号より。


日本は長寿国と言われており、
平均寿命(2013年)は男性80.21歳、女性86.61歳です。

しかし男女とも寿命の最後10年程は寝たきり・要介護の生活となってしまう人が多く、日常生活に制限なく過ごせる「健康寿命(2013年)」は男性71.19歳、女性74.21歳といわれています。


今回の研究では適正体重、健康的な食生活、適度な運動などを守れているヒトでは、残りの人生のうち障害なく過ごせる年数が長いことが分かりました。

長生きするだけでなく生き生きと充実した日々を送れるよう、今から健康的な生活を心掛けましょう♪

【試験概要】
  • 研究デザイン:コホート研究。
  • 対象:65歳以上(平均年齢72.7歳)でベースライン時に車椅子を必要としていない地域住民5,248名。
  • 追跡期間:1989~2015年。
【試験結果】
  • 女性は平均生存年数が15.4年、うち4.5年間が日常生活動作に障害あり。男性は平均生存年数が12.4年、うち2.9年間が障害ありだった。
  • 生存年数に対する日常生活動作の障害なし年数をパーセンテージで表すと・・・
    • 肥満者では障害なし年数の割合が7.3ポイント低かった。
    • 健康的な食生活スコア(Alternate Healthy Eating Indexを使用)が最も低いグループでは、最も高いグループと比較して障害なし年数の割合が3.7ポイント低かった。
    • 1週間に歩く量が25ブロック増えるごとに障害なし年数の割合が0.5ポイント高かった。
【論文リンク】

2016年10月6日木曜日

10月は乳がん月間 - 生活習慣で乳がんの3分の1が予防可能❔

このエントリーをはてなブックマークに追加

アメリカでは、10月 = National Breast Cancer Awareness Month(乳がん月間)とされています。

アメリカがん研究協会の2016年9月30日プレスリリースによると、アメリカの乳がん患者の約3分の1、つまり81,400名ほどは生活習慣によって乳がんが予防できたと推算されています。

エビデンスに基づく3つの予防法とは…
  1. 適正体重の達成と維持:過剰な体脂肪は閉経後乳がんのリスクと最も相関する因子の一つで、乳がんの5例に1例は過剰な体脂肪が原因だといわれています。過剰な脂肪組織は慢性的な炎症を引き起こし、インスリンやその他のホルモンを増加させることでがん細胞の増殖を促進します。
  2. 身体活動量を増やす:庭いじりやランニングなど、日常生活の中で強度が中程度以上の身体活動を毎日30分以上すると、閉経前・閉経後乳がんのリスクが低減します。また座ったり寝転んだりしている時間を減らすことも重要です。
  3. アルコールを避ける。飲むのであれば適量を守る:既存研究によると、少量であっても定期的な飲酒は乳がんリスクを上昇させるといわれており、量が増えれば増えるほどリスクも上昇します。アルコール/エタノールはDNAの損傷・がんを促進するホルモンの上昇などに繋がります。女性では1日1杯以下が適量です。
また最近出産をした女性では、授乳することも閉経前/閉経後の乳がんリスク低減に繋がります。
日々の生活でできる乳がん予防の3ヶ条、他のがんや慢性疾患のリスク低下にも繋がります。しっかり心に留めて少しずつ生活を改善していきましょう♪
【論文リンク】

2016年10月5日水曜日

塩分摂りすぎ要注意!小さじ半分増える毎に死亡リスクが12%上昇❔

このエントリーをはてなブックマークに追加



Journal of the American College of Cardiology誌、 2016年10月3日オンライン号より。


日本食は低脂質で健康的だと海外でも人気が高まっていますが、醤油・味噌などを多く使い塩分が高くなりがちなのが欠点です。

塩分の摂りすぎ=高血圧に繋がるというイメージが強いかもしれませんが、今回の研究では総死亡率との関係が評価されました。
その結果、塩分の摂取量が小さじ半分程度増える毎に死亡リスクが12%上昇していたのです。

ハーブやスパイスなどを上手に活用し、美味しく減塩を心掛けましょう♪

【試験概要】

  • 研究デザイン:TOHP(Trials of Hypertension Prevention)という無作為化試験の追跡。
  • 対象者:30-54歳で高血圧前症の3,126名。
  • 介入:塩分制限もしくは対照群。
  • 研究期間:フェーズ1は18ヶ月以上、フェーズ2は36ヶ月以上の介入。介入後の追跡期間は中央値で24年間 。
【試験結果】

  • 塩分制限もしくは対照群に無作為化された3,126名では、塩分制限をしたグループで死亡率が15%低かったが、統計的に有意な差ではなかった。
  • 塩分制限をしていない者(2,974名)のデータを解析すると…
    • 1日のナトリウム摂取量が1,000mg(塩分2.5g、小さじ半分程度)増える毎に死亡リスクが12%上昇した(HR 1.12)。
    • ナトリウム対カリウムの比が1単位上昇する毎に死亡リスクが13%上昇した(HR 1.13)。
【論文リンク】
Sodium Intake and All-Cause Mortality Over 20 Years in the Trials of Hypertension Prevention

2016年10月3日月曜日

少量のお酒でも心房細動リスクに影響- 10g/日ごとに5%のリスク上昇❔❔

このエントリーをはてなブックマークに追加

Journal of the American Heart Association誌、2016年9月14日オンライン号より。

適度な飲酒(女性:1日1単位以内、男性:1日2単位以内)は身体によいと言われていますが、今回の研究では相反する結果が示されました。


5,000名を超える男女を約6年間にわたって調査したところ、アルコールの摂取量が10g(1単位未満)/日増えるごとに左心房が少しずつ拡大し、不整脈の一種である心房細動の発症リスクが5%増加したのです。

お酒を楽しみストレス発散も良いですが、たまには休肝日も設けるようにしましょう♪

【試験概要】
  • 研究デザイン:観察研究。
  • 対象:Offspring and Original Framingham Heart Study対象者5,220名。平均年齢は56.3歳
  • 追跡期間:中央値で6.0年間。
【試験結果】
アルコール摂取量が10g(アルコール1単位未満)増加する毎に…
  • 左心房が0.16mm拡大した。
  • 心房細動の発症リスクが5%上昇した(HR 1.05)。

【論文リンク】